- 高低差のある土地って住宅や外構が高額になるの?
- 高低差のある外構のメリット・デメリットってある?
- 高低差外構をおしゃれにしたい!!
高低差の特徴を知らないまま家づくりを進めてしまうと、外構で予算オーバーになる方は非常に多いです。なぜなら、高低差を何らかの形で解消する必要があるからです。

はじめまして!今年で外構設計10年目のたけと申します。 現在は、自営業で関東関西の外構業者の図面サポートをしています💻 作図実績累計1000件以上✍
新築外構やリフォーム外構、狭小、大規模案件と幅広く携わってきた経験をもとに外構工事のアドバイスをしていきます!
注文住宅の土地選びは、色々考えることは多くあると思います。
日当たり良好か、風通しの良い土地か、建蔽率、地盤どうか、制限や規制の有無はどうかなど。
この記事では、高低差の特徴や何にお金がかかるか解説していきます。高低差外構をおしゃれにするポイントも合わせて解説していきます。
この記事を最後まで読むことで、高低差のある土地を選んでも予算オーバーにならず、おしゃれに庭づくりすることができます。
高低差のある土地の住宅や外構工事が高くなる理由
- 自分の立っている地面と建物が立っている地面の差が高低差
- 高低差のある土地⇒階段やスロープ、手すり、土留めor深基礎、目隠しフェンスの分費用増加
高低差とは

高低差とは、建物が立っている地面(GL:グランドライン)と道路の地面との差のことになります。建築図面の配置図などには、設計GL=BM+500などと記載されます。
設計GLとは建物基礎が立ち始める高さのこと。
BMとはベンチマークの略で建物や敷地の高さを測る上での基準点になります。大抵の場合、動くことのないマンホールになります。基準点なので±0(ゼロ)です。
+500の記載は、マンホール(±0)から500mm上がっている高さを表しています。
高台など高低差のある土地とない土地だと費用が違ってきます。
イメージが湧かない方は、坂道や丘陵地を想像してみてください。坂の途中にある住宅は、ほぼ高低差のある土地です。
高低差のある土地に必須なもの
土留め
高低差の長さ(高さ)の分だけ土留めが必要になる。
1m以内であれば、普通ブロックや化粧ブロックで施工する業者も中には存在しています。私が勤めていた外構業者でも1m以内であれば、普通コンクリートブロックや化粧ブロックで対応していました。
理由は、過去20年間傾いたことやそれに伴うクレームも一切ないからとのことでした。
坂道の住宅街を歩いていてもたまに明らかに1m超えていても120mmの化粧ブロックを積み上げている土留めの住宅も見かけたこともあります。
また、高低差にもよりますが擁壁や型枠ブロックなどを使用することが基本推奨なのですが
費用面をみて高さが際どい場合、施主側の希望する場合もあるようです。
化粧ブロックが1㎡あたり15,000~20,000円だとしたら、擁壁,型枠ブロックだと1㎡あたり25,000~50,000円を想定しておく必要があります。
※型枠ブロック:生コンクリートを充填して施工するタイプのブロック
※擁壁:簡単に言うと鉄筋コンクリート
深基礎


深基礎とは、建物基礎を下に延長した通常より長い基礎のこと。家づくりの段階だと、どんな外構になるか分かってないので深基礎を提案されます。
深基礎の費用と土留めブロック、どちらが高いか出来れば間取り検討中に比較しておきたいものです。
階段、スロープ(斜路)

道路側から玄関ポーチまでスロープ(斜路)や玄関ポーチの増設の必要が出てくる。
高低差がない場合、玄関ポーチを増設する必要もスロープ(斜路)にする必要も当然ありません。
建築側で施工してくれる玄関ポーチ2段で事足ります。仮に高低差があってスロープ(斜路)や階段を作らないと建物近くまでは水平に行けますが玄関に入るまでの階段1段がとてつもなく高い一段になってしまいます。
土留め&フェンス

高低差があればあるほど、土留めブロックを積み上げる必要があります。積み上げた分、高さが出るので転落防止用にフェンスの設置が必要になります。
多くの場合は、型枠ブロックを採用することになるので通常のコンクリートブロックや化粧ブロックよりも高額になってきます。化粧ブロックの1㎡が15,000前後とすると、型枠ブロックは、25,000~になります。それでもコンクリートよう壁は、1㎡50,000前後はかかるので結果型枠ブロックの安めのものを選ぶ人が多いのが現状。
手すり

土留めブロック、フェンスと同様に高低差が大きくなるほど手すりが必要になってきます。段数の多い階段を手すりなしだと少し不安になりませんか?地面は、コンクリートなどで硬いので※転落防止の役目も大きいです。
※実際には、フェンスや手すりは転落防止を意図して製造されていません。
高低差のある住宅外構の具体例
高低差のある敷地外構

上記住宅を見ると芝生の法面(斜面のこと)が共にあり、左側の住宅は、階段が5段あります。
通常2段だけは、建築側で施工するのですが高低差がある場合数段追加した場合の具体例になります。
芝生の法面は、高低差の傾斜を緩和するために施工されています。
また、基礎の部分がとても長いですよね?
これは、深基礎と言い文字通り深く基礎を下した形の基礎になっています。
深基礎にしているので駐車場の傾斜がゆるく済んでいます。深基礎にしない場合は、基礎の近くに土留ブロックを施工する必要があります。
高低差のない敷地外構

上記を見ると玄関ポーチ(階段)も2段のみ、法面のないことが分かります。
また、階段の段数も少ないしスロープもない為、当然ながら手すりも必要ありません。
具体例①の敷地の場合、高低差が1m以下なので転落防止柵も必要ありませんが坂道の住宅街や高台の住宅街だと2~3mの高低差のある住宅敷地も存在します。
そういった敷地の外構工事では、擁壁(鉄筋コンクリート)が必要になります。更にその上にフェンスや化粧ブロック数段+フェンスなどを施工することが大半です。
高低差に必要な工事と商品の分だけ外構費用は高くなる。ざっくり+50万~100万
高低差のある外構のメリット・デメリット
- 高低差のメリット⇒立体的な外構&庭、プライベート空間確保しやすい、水害に強い
- 高低差のデメリット⇒高額になる、工期長くなりがち、使い勝手は悪い
高低差の外構メリット

立体的な外構
段差を活用して立体的に魅せることが可能。
平らな土地でも、前後の奥行感は演出できますが、上下の立体感は出しづらいのが実情。高低差があるということは、階段や土留めブロックなど側面を見せることが出来ます。ここをどう見せるかがおしゃれのポイントにもつながってきます。
眺望とプライバシー
道路から見上げたところから建物がたてられているので眺望とプライバシー確保が可能。
ひな壇造成地などを見ればわかるように、坂道の途中にある住宅は、眺望がとても良く、住宅の基礎が道路より高い位置にあるので、目隠しフェンスなどを活用すればプライバシーも確保しやすいのがメリットになります。
水はけ
高低差があるので自然に水が流れやすい。建物付近に水がたまりずらい。
高低差の外構デメリット

お金がかかる
高低差外構に必要なもので記載した通り、その分別途費用がかかります。
平地であれば、多くの階段や土留めブロックフェンスは必要ありません。高低差のある土地は、平らな土地に比べ格安なのでトータルで見る必要があります。外構は、実は土地選びから始まっています。
時間がかかる
境界ブロック一つとっても型枠ブロックを使う必要があったり、施工量が多く同じ敷地面積でも工期は長くなる。
ブロック一つとっても、通常のコンクリートブロックや化粧ブロックと型枠ブロックでは施工の手間が違います。ブロックの中にコンクリートを詰める型枠ブロックでは、その分手間暇かかります。
日常の使い勝手わるい
段差がわずらわしくなる。
ぱっと見の見た目は、華やかな高低差外構ですが、段差がある分使い勝手は良くないです。段差があるのでつまずくこともあるし、転倒したときの怪我のリスクは平地に比べて高いです。
高低差外構をおしゃれにするには
- 立面(側面)の材料を魅せる
- フローティングステップ(浮き階段)の使用
- 照明の活用
立面(側面)で魅せる

高低差外構の特徴として、立面(側面)が目立つのでそこに力を注ぐことでおしゃれにすることができます。
階段の蹴上げ

※蹴上げとは:階段の立ち上がり(側面)のこと
※踏面とは:階段において足を乗せる場所のこと(平面)
この画像で言うとピンコロにあたるところ。踏面も蹴上げもタイルで仕上げてもいいのですが、平地に比べ階段数も多いので、踏面と蹴上げの材料を分けることでよりおしゃれにすることができます。
土留めブロック

高低差が大きいほど、面積も大きく目立つのでおしゃれな型枠ブロックを選ぶと高級感のある庭を演出できる。
手すり

手すりも高低差のない庭には、使うことのないアイテム。シンプルなデザインでカッコよさを演出するも良いし、鋳物フェンスのような側面に装飾あるタイプでめだたせるの一つの手段。
フローティングステップ(浮き階段)の使用

高低差外構を高見えさせる為の必須の手段。
前に出っ張りを作りタイルを張るのも良いし、分厚い切り出した石を乗せるのもあり。ただし、後者は、搬入費用も別途かかるのでお金は更にかかる。(人力では持ち上がらないため)
照明の活用

フローティングステップの出っ張りの裏にラインライトを設置。
高低差外構では、フローティングステップ+照明が定番のデザインになりつつあります。日中は、フローティングステップで目立つし、夜になるとフローティングステップで光らせる。
どちらにせよ、高低差外構では、フローティングステップを活用することで昼も夜も華のある庭を演出することができます。
まとめ
高低差のある土地って住宅や外構が高額になるの?
⇒高額になる!高低差に必要なものが別途かかる。 土地が安いが外構にかかるのでプラマイゼロの可能性も。
高低差のある外構のメリット・デメリットってある?
⇒メリット 立体的でおしゃれ、眺望とプライバシー良し、水はけよし
⇒デメリット お金かかる、工事期間長い、使い勝手は△
高低差外構をおしゃれにしたい!!
⇒立面に力を注ぐ。土留ブロック、階段蹴上げ、フローティングステップ+照明など

高低差のある土地選ぶなら、予算に余裕を持って準備しよう!
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